
あなたがWeb制作に携わっているなら、フリー素材やオープンソースの活用は日常的なことかもしれません。
でも、そのライセンス、本当に理解していますか?
特に「GPL」と「CCライセンス」は、名前だけ聞いたことがあっても、どんな違いがあるのか、なんとなくで済ませている人も多いはず。
もし誤って使ってしまうと、後からトラブルになる可能性も…!
この記事では、Web制作者が知っておくべき「GPLとCCライセンスの違い」を、初心者にもわかりやすく、具体例を交えて解説します。
CCライセンスとGPLライセンスの概要
クリエイティブ・コモンズとは
クリエイティブ・コモンズ(Creative Commons, CC)は、主に写真・文章・音楽・動画などの著作物に対して、「この条件で使っていいですよ」と明示するためのライセンス体系です。
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作者が「利用許可」をあらかじめ設定できる
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商用利用可否、改変の可否などを選べる
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知識・文化の共有を目的に2002年に登場
代表的な記号は以下のとおりです:
記号 | 意味 |
---|---|
BY | クレジット表示が必要 |
NC | 非営利目的に限る |
ND | 改変を禁止 |
SA | 継承(同じライセンスで公開) |
GPLとの目的の違い
一方、GPL(GNU General Public License)は、主にソフトウェアに適用されるライセンスで、1989年にFree Software Foundationにより開発されました。
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「自由なソフトウェアの利用と改変・再配布」を守るために作られた
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プログラムの自由を「コピーレフト」で保護する
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つまり、改変・再配布は自由だが、再配布物も同じ自由を守る義務がある
著作物の対象範囲の違い
ソフトウェア vs コンテンツ
両者の最も大きな違いは、対象とする著作物の種類です。
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GPL:ソフトウェア(コード、プログラム、スクリプトなど)
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CCライセンス:文章、画像、音声、動画などのクリエイティブ作品
対象となる著作物の例
ライセンス | 典型的な対象物 |
---|---|
GPL | WordPress、Linux、オープンソースのプラグイン |
CC | 写真素材、ブログ記事、YouTube動画、イラスト |
再配布・改変の自由度の違い
CC-BY・NC・NDなどの選択肢
CCライセンスでは、作者が自分の意思で自由度をコントロールできます。
たとえば:
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CC BY-SA:クレジット表示と同じライセンス継承が必要(Wikipediaなど)
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CC BY-NC-ND:非営利かつ改変禁止(かなり制限が強い)
つまり、「改変OKだけど商用はNG」といった細かい条件を選べるのがCCの特徴です。
GPLのコピーレフト性
一方、GPLは「一度GPLにしたら最後までGPLを守らなければならない」という強い特徴を持ちます。
これは「コピーレフト」と呼ばれ、以下のような影響があります:
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改変して配布する場合、必ずGPLライセンスを継承
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閉じた商用ソフトウェアとしては使いにくい
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ただし、ユーザーにとっては「自由」が保証される安心感
Web制作における使い分けのポイント
素材サイト利用時の注意
たとえば、無料の写真素材を使うときに、CCライセンスの種類を確認せずに使っていませんか?
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クレジット表記が必要か?
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商用利用はOKか?
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加工して使ってよいか?
これらは素材サイトのライセンス欄に明記されていることが多いので、必ずチェックしましょう。
📌おすすめチェックポイント
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CC-BYだけなら比較的自由度高め
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NCやNDが付くと使い方に制限がある
コードと文章のライセンスを分ける
WordPressテーマやプラグインを制作・配布するとき、コードはGPLで、説明文やデザイン素材はCCライセンスという分け方も可能です。
例:
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PHPファイル → GPL
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説明文や画像 → CC BY 4.0
これにより、プログラムの自由を守りつつ、クリエイティブ面で著作権も主張できます。
まとめ
比較項目 | CCライセンス | GPLライセンス |
---|---|---|
対象 | 写真・動画・文章など | ソフトウェア・コード |
商用利用 | 条件により可 | 原則可(継承義務あり) |
改変 | ライセンスにより可否が異なる | 常に可、ただしGPL継承必須 |
代表的用途 | ブログ・SNS・教材など | CMS、プラグイン、アプリケーション |
知らずに利用していると、クライアントからの信頼を失うリスクも…。
だからこそ、GPLとCCライセンスの違いをしっかり理解して、安心・安全な制作活動を行いましょう。