GPL v2とは何か?|GPL v2とv3の違いについて解説

GPL v2とは何か?|GPL v2とv3の違いについて解説 OSSライセンス
香奈枝
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この記事では、GPL(GNU General Public License)について、特にv2とv3の違いに焦点を当てて解説します。GPLは、自由なソフトウェアの普及と保護を目的としたライセンスであり、そのコードを自由に利用できることが魅力です。

GPLについて

GPL(GNU General Public License)は、自由かつオープンソースのライセンスで、自由ソフトウェア財団(FSF)によって作成されました。

このライセンスは、ソフトウェアのコピー、配布、変更、および利用に対する法的な枠組みを提供します。

GPLの最も重要な特徴は、ソフトウェアの自由な利用を保証するために、コピーや変更をした場合には必ず同じライセンスの下で配布する必要があります。

GPL v2の特徴

GPL v2は、GPLの初期のバージョンの1つであり、1991年にリリースされました。

GPL v2は、著作権者の権利とソフトウェア利用者の権利を保護するための様々な条件を含んでいます。その条件には、以下のようなものがあります。

  • コピーや変更を行った場合、そのソフトウェアをGPL v2の下で配布する必要があること
  • オリジナルの著作権表示を残す必要があること
  • ソフトウェアを商用目的で利用している場合でも、そのソフトウェアをGPL v2の下で配布しなければならないこと
  • GPL v2の下で配布されたソフトウェアのライセンスが、そのソフトウェアに付随するすべての特許を自動的にライセンスすること。

GPL v2のライセンス条件

GPL v2のライセンス条件には以下のようなものが含まれます:

  • 頒布時には、GPL v2のライセンス条項を含めなければなりません。
  • ソースコードを提供する必要があります。
  • 二次的著作物もGPL v2のライセンスの下で配布されなければなりません。
  • GPL v2のライセンスで配布されたソフトウェアを変更する場合は、変更された部分のソースコードも提供しなければなりません。
  • ソフトウェアの利用に関する制限はありません。すべての人が、どのような目的でも、自由にソフトウェアを利用することができます。
  • GPL v2のライセンスで配布されたソフトウェアを利用する場合、利用者は自身のプログラムもGPL v2のライセンスの下で配布しなければなりません。

GPL v2は、オープンソースコミュニティにおいて広く採用されているライセンスの一つであり、LinuxカーネルやGNUツールチェーンなどの多くのプロジェクトで使用されています。

GPL v2とv3の違いについて

GPL v2は、1991年にリリースされ、オープンソースライセンスの中でも広く使われているものの1つです。

GPL v2は、ソフトウェアの利用者に対して、ソフトウェアのソースコードを公開することを求めることで、オープンソースの普及に大きな役割を果たしてきました。

GPL v3は、GPL v2から14年後にリリースされた改訂版です。

GPL v3は、GPL v2の問題点を改善するために、さまざまな変更が加えられています。

主な違いは、特許権に関する条項や、DRM(デジタル著作権管理)技術の制限がより厳格になったことです。

GPL v3の特徴

GPL v3の最も注目すべき特徴は、特許権に関する条項です。

GPL v3では、特許権を有する人が、自分の特許権を使って他の人の利用を妨げることを防ぐために、特許権に関する条件が追加されました。

これにより、特許権を持っている企業が、GPLライセンスを採用したソフトウェアを利用することができるようになりました。

また、GPL v3では、DRM技術に関する規定が強化されています。これにより、DRM技術を使って、自由にソフトウェアを利用できないようにすることを防ぐことができます。

GPL v2からGPL v3で改善された点

GPL v3は、GPL v2の欠点を補完し、より包括的なライセンスとなっています。その改善点について、以下に紹介します。

・GPL v3では、特許に関する条項が改善されました。
GPL v2では、特許について何も定められていなかったため、特許侵害に対してGPLライセンスを侵害しているかどうかを判断することが困難でした。

しかし、GPL v3では、特許に関する条項が追加され、特許侵害に対する保証が強化されました。

・GPL v3では、デジタル著作物の制御に関する条項が改善されました。
GPL v2では、ソフトウェアに限定していたライセンスが、GPL v3では、デジタル著作物全般に適用されるようになりました。

これにより、GPL v3を使用することで、ソフトウェアだけでなく、文書、画像、音楽などのデジタル著作物を自由に利用できるようになりました。

・GPL v3では、使用者の権利が改善されました。
GPL v2では、著作権の放棄により、ソースコードを自由に利用できるようになっていましたが、GPL v3では、使用者の権利がより強化され、使用者がソースコードを変更して自分のプログラムを作成し、それを販売することができるようになりました。

以上が、GPL v3の主な改善点です。GPL v2と比較して、より包括的なライセンスになったことがわかります。

しかし、改善点によっては、GPL v2のライセンス条件を変更することができない場合があります。そのため、GPL v2とGPL v3のどちらを使うかは、開発者が自身のプロジェクトの要件に合わせて選択する必要があります。

GPLのまとめ

香奈枝
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GPL v2とv3は、オープンソースライセンスの中でも広く使われているもので、ソフトウェアの利用者に対して、ソフトウェアのソースコードを公開することを求めています。

また、GPL v2はその簡潔さと広く採用されていることから、多くのオープンソースプロジェクトで採用されています。一方、GPL v3はv2の改善点を多数含んでおり、特に特許に関する規定の追加など、新たな問題に対応したライセンスとなっています。

また、GPL v3はデジタル著作権管理技術(DRM)に関する規定も含まれており、DRMを解除することができることが求められています。

GPL v2とv3の主な違いは、GPL v3がより広範な権利保護を提供していることです。特に、特許に関する規定、DRMに関する規定、また国際法に基づく条項の追加など、GPL v2に欠けていた多数の改善点が含まれています。

ただし、v2からv3へのアップグレードは自動的ではなく、プロジェクトのライセンスを変更するには、コントリビューター全員の同意が必要となります。

オープンソースプロジェクトを開発する上で、適切なライセンスを選ぶことは非常に重要です。GPL v2とv3は、それぞれの特徴をよく理解し、プロジェクトの目的やニーズに応じて選択することが求められます。

GPLは、オープンソースプロジェクトを正当に保護し、ソフトウェアの自由な利用を促進するための有効なライセンスの一つとして、今後も重要な役割を果たすことが予想されます。

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