GPL v2をわかりやすく解説|自由と制約のバランスを知ろう

GPL v2をわかりやすく解説|自由と制約のバランスを知ろう OSSライセンス
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香奈枝
香奈枝

「無料で使えるソフトウェアって、どこまで自由に使っていいの?」 そう疑問に感じたことはありませんか?

※このページは2025/04/30に全面リニューアルしました。

WordPressのテーマやプラグインを触っていると、”GPLライセンス”という言葉をよく目にします。

この記事では、その中でも特に利用されている「GPL v2」について、初心者の方にもわかりやすく、ストーリーを交えて解説していきます。

知らずに使ってライセンス違反…なんてことにならないように、基本から応用までしっかり学びましょう!

GPL v2とは何か?

GPL v2とは何か?説明画像

GPL(GNU General Public License)の概要

GPLは、「ソフトウェアを誰でも自由に使い、改変し、再配布できる」ことを保証するオープンソースライセンスです。開発元はFree Software Foundation(FSF)で、フリーソフトウェア運動の柱となるライセンスです。

バージョン2の特徴と誕生背景

1991年にリリースされたGPL v2は、それまでのライセンスの曖昧さを解消し、より強力な”自由”を明文化するために登場しました。LinuxカーネルもGPL v2で公開されており、実績あるバージョンです。

「自由」の意味:利用・改変・再配布ができる

GPL v2での”自由”とは、以下の4つの自由を指します:

  1. ソフトウェアを実行する自由
  2. ソースコードを調べ、改変する自由
  3. 再配布する自由
  4. 改変したものを再配布する自由

これらを誰でも行えるようにすることで、開発コミュニティ全体の活性化を狙っています。

GPL v2の主な特徴と原則

GPL v2の主な特徴と原則についての解説画像

ソースコードの開示義務

GPL v2で配布されるソフトウェアには、ソースコードを同梱するか、取得できる手段を提供する必要があります。

派生物も同じライセンスを継承(コピーレフト)

いわゆる「コピーレフト」の原則です。改変したソフトや、GPLコードを含む派生ソフトは、同じくGPLで再配布しなければなりません。自由を守るための鎖とも言えます。

「商用利用」はOKだが制限もある

商用利用は許可されていますが、ソースコードの公開義務があるため、クローズドな独自製品としての利用には向きません。

他のライセンスとの違い

他のライセンスとの違いについての解説画像

MITライセンスとの比較

MITは非常に寛容で、「再配布・改変・商用利用すべて自由」であり、ソースコードの開示義務もありません。対してGPLは、自由の連鎖(コピーレフト)を重視します。

特徴 GPL v2 MITライセンス
ソースコード開示 必須 任意
コピーレフト あり なし
商用利用 OK(条件あり) OK(制限なし)

GPL v3との違い

GPL v3(2007年登場)は、v2の欠点を補う形で、DRM対策や特許の明文化などが加えられています。ただし、GPL v2との互換性がないため、注意が必要です。

Apache Licenseとの違い

Apache License 2.0は、商用利用に強く、特許の取り扱いも明確。コピーレフトはないため、企業での採用率が高いです。

GPL v2の注意点とリスク

GPL v2の注意点とリスクについての哀切画像

ライセンス違反になるケースとは?

例えば、GPLソフトの改変版を配布しながらソースコードを非公開にした場合、違反になります。

再配布や派生物で気をつけること

自作のコードとGPLコードを混ぜた場合も、すべてGPLとして公開しなければなりません。この点は非常に注意が必要です。

企業・商用利用での考慮点

内部利用にとどめれば問題ありませんが、製品として再配布する場合はソース開示の義務があります。

WordPressとGPLの関係

なぜWordPressテーマ・プラグインはGPLが多いのか?についての解説画像

なぜWordPressテーマ・プラグインはGPLが多いのか?

WordPress本体がGPL v2で提供されており、それに依存するテーマやプラグインも同様にGPLになるという考えが一般的です。

テーマやプラグイン販売時のライセンスの扱い方

PHPコード部分はGPLでなければなりませんが、CSSや画像などは別ライセンスも認められています(ただし購入者の混乱を避ける工夫が必要)。

一部GPL・全部GPLとは?

「全部GPL」はテーマ・プラグイン全体をGPLで提供するスタイル。 「一部GPL」は、PHPコードのみをGPLにし、その他の部分に独自ライセンスを設定する形式です。

GPL v2のメリット・デメリットまとめ

GPL v2のメリット・デメリットについての解説画像

メリット:自由度とコミュニティの発展

知識と技術をシェアする文化が根付き、エコシステム全体が発展します。WordPressのような巨大プロジェクトが成立したのも、この仕組みのおかげです。

デメリット:商用利用時の制限と法的グレーゾーン

すべてを公開しなければならないという点は、企業にとってリスクや不安要素になることもあります。

使うべきかどうかの判断ポイント

「開発成果をシェアしたいか?」「再配布を自由にさせたいか?」といったポリシーに合うかどうかで選ぶのがよいでしょう。

まとめ|GPL v2を正しく理解して活用しよう

香奈枝
香奈枝

GPL v2は、単なるライセンスではなく「ソフトウェアの自由」を守るための哲学です。

その理念を理解した上で使えば、より良いプロジェクトの推進力となり、WordPressのように多くの人に貢献できる可能性があります。

ライセンスは「読むもの」であり、「守るもの」でもある。 そんな意識を持って、あなたの開発やブログ運営にも役立ててください。

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この記事を書いている人
香奈枝

はじめまして、香奈枝です。
ストアカでWordPressやライティングなどのオンライン講師をしています。

WordPressは2003年にオープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)として誕生し、2025年で22年目になります。私がオンラインビジネスに携わって24年ほどになりますので、WordPressは、もはやライフワークとも言えるほど深く関わっている存在です。生成AIの活用法や、ブログ運営を通じて収益を上げる方法についても教えており、AIツールやWordPressについての話題なら何時間でも話すことができます。

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