
あなたが今、ソフトウェア開発に取り組んでいて「ライセンスはどれを選べばいいのか?」と悩んでいるなら、このページはまさにその答えを提供します。
とくにGPL(GNU General Public License)の「v2」と「v3」の違いに戸惑っている方は少なくありません。バージョンが上がれば単純に“良い”というわけではなく、それぞれの思想、保護範囲、使い方のルールが違います。
このページでは、GPL v2とv3の共通点と違いをわかりやすく比較しながら、あなたに合ったライセンスの選び方まで解説します。
GPL v2とv3の共通点と基本原則
自由の四原則
GPLライセンスの根幹には「ソフトウェアの自由」があります。これはフリー(自由)ソフトウェアの理念に基づいたもので、以下の4つの自由が保障されます:
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プログラムを実行する自由
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プログラムのソースコードを研究・改良する自由
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プログラムを再配布する自由
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改変したプログラムを配布する自由
これらは、v2・v3どちらにも共通しており、ユーザーの自由を最大限に守ることを目的としています。
ソースコード公開の義務
GPLライセンスの最大の特徴は「コピーレフト」という考え方。
つまり、一度GPLで配布されたソフトウェアやその派生物は、同じGPLライセンスで公開する義務があります。
v2もv3も、これを守ることでソフトウェアの自由な進化と再利用が保証されます。
GPL v3の主な追加要素とは?
では、v3になって何が加わったのでしょうか? 実は、現代の課題に対応した重要な変更が盛り込まれています。
Tivo化対策
「Tivo化」とは、ハードウェア側でソフトウェアの改変を制限する仕組みのこと。
例えば、Tivo社が自社ハードにGPLソフトを使いながらも、改変されたバージョンを起動できないようにしていたことが問題となりました。
GPL v3はこれに明確に反対し、「自由の制限」を禁止する条項を盛り込みました。
DRM対策
DRM(デジタル著作権管理)は、コンテンツやソフトウェアの不正利用を防ぐための技術ですが、ユーザーの自由を制限する側面もあります。
GPL v3では、DRMを用いた自由の制限を防ぐため、DRM保護のある機器におけるGPLソフトの使用を制限しています。
これは特にメディア業界や組込み機器での使用に影響を与えます。
特許条項の追加
v3では、ソフトウェア特許に関する明確な保護も加わりました。
ライセンスを受けたユーザーは、ソフトウェアに関連する特許を他者に対して攻撃的に行使してはならないと定められています。
これにより、特許を巡る訴訟リスクの軽減が期待されます。
セキュリティ・DRM対応の違い
v2での対応
GPL v2は1991年に制定されたため、当時はTivo化やDRMの概念が存在しませんでした。
そのため、こうした技術への対抗措置はライセンスに明記されておらず、現代の状況にはやや対応しきれていない側面があります。
v3での強化点
一方、GPL v3は2007年にリリースされ、Tivo化やDRM、特許リスクなどの新たな問題に対する明確なルールを追加しました。
その結果、よりセキュリティやユーザーの自由を重視する用途に適したライセンスとなっています。
GPL v2とv3の選び方と活用シーン
個人開発の場合
個人開発者であれば、シンプルなライセンスで十分というケースも多いでしょう。
v2の方が条項が短く理解しやすいため、小規模プロジェクトではv2を採用する事例も見られます。
ただし、将来的に組込み機器やIoTでの展開を視野に入れるならv3を選んだ方が安心です。
企業利用の場合
企業がオープンソースを導入する際は、法的リスク回避やサプライチェーンの安全性が重視されます。
そのため、特許対策やDRM制限への対応が整っているv3を選ぶのが無難です。
特に、複数の企業が関与するプロジェクトでは、GPL v3が推奨される傾向があります。
まとめ

GPL v2とv3、どちらもソフトウェアの自由を守る力強いライセンスであることに変わりはありません。
しかし、時代の変化とともに登場した新たな課題に対応しているのはGPL v3です。
もしあなたがこれからライセンスを選ぶ立場にあるなら、以下を参考にしてみてください:
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単純で分かりやすいものを求める → GPL v2
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現代的なセキュリティ問題や法的リスクを考慮する → GPL v3
オープンソースの価値は、「自由」と「共有」です。
あなたのソフトウェアも、GPLの力を借りて、より多くの人と価値を分かち合えるものになりますように。