
「AIで漫画を作ってみたいけど、プロンプト(指示出し)が難しそう…」
そんなふうに思っていませんか?実は今、漫画制作の世界で「YAML(ヤムル)」という魔法の言葉が注目されています。
プログラミング言語のように聞こえるかもしれませんが、心配はいりません!YAMLは「箇条書き」ができれば誰でも使える、とってもシンプルな記述方法です。

この記事では、AI漫画制作を劇的にラクにするYAMLの基本から、すぐに使える4コマ漫画のテンプレートまで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
YAML(ヤムル)とは?
YAMLは、「人間にとって読みやすく、書きやすい」ことを目指して作られたデータの記述形式です。
一言で言えば、「AIへの整理された注文書」です。
💡 イメージしてみよう
普通の文章での指示が「口頭での早口な注文」だとしたら、YAMLは「項目ごとに整理されたオーダーシート」です。
店員さん(AI)にとって、どちらが間違いなく料理(漫画)を作れるでしょうか?もちろん、後者ですよね。
なぜ今、漫画制作にYAMLが使われるの?

最近、画像生成AIを使って漫画を描く人が増えていますが、ここで大きな壁になるのが「指示の複雑さ」です。
- 「1コマ目は右上で、主人公が驚いていて…」
- 「2コマ目は左下で、背景は夕暮れで…」
これを文章でダラダラ書くと、AIは混乱してしまい、「1コマ目と2コマ目で主人公の服が違う!」なんてことがよく起こります。
YAMLを使うと、「キャラクター設定」「コマ割り」「セリフ」を構造的にカチッと分けて指示できるため、AI(特にChatGPTやGeminiなど)が正確に意図を理解してくれるのです。
3分で覚える!YAMLの基本的な書き方
覚えるルールはたったの3つだけです。
① インデント(字下げ)で階層を作る
YAMLの一番の特徴は「スペース」です。通常、半角スペース2個(または4個)を使って、親子関係を表します。
② コロン(:)の後は必ずスペース
項目名: 内容という形で書きますが、コロンの直後には必ず半角スペースを入れます。
③ リストはハイフン(-)で
複数の要素(例えば漫画のコマなど)を並べるときは、ハイフンを使います。
実際の見た目はこんな感じです:
漫画のタイトル: 初めてのYAML
登場人物:
- 名前: タロウ
特徴: 赤い帽子、元気
- 名前: ハナコ
特徴: 青いリボン、冷静
4. 漫画制作での使用例(4コマ漫画)
では、実際に4コマ漫画をAIに描かせるためのYAMLを見てみましょう。これをそのままAIに貼り付けるだけで、漫画の構成を理解してくれます。
以下の命令文に基づいて漫画ページを作成してください。
title: AIとの日常
author: ヤマ田ヤム男
# キャラクター設定(一貫性を保つために重要!)
characters:
- name: ユイ
description: 黒髪のボブカット、黄色のパーカーを着た20代女性。
- name: ロボ
description: 丸い頭の小さな白いロボット。目が青く光る。
# ここからコマ割りの指示
pages:
- panels:
- id: 1
layout: top-right # 配置:右上
description: ユイがパソコンに向かって悩んでいる。
dialogue:
- speaker: ユイ
text: 「うーん、プロンプトが難しいなあ」
- id: 2
layout: top-left # 配置:左上
description: ロボが画面からひょっこり現れる。
dialogue:
- speaker: ロボ
text: 「YAMLを使えば簡単ですよ!」
- id: 3
layout: bottom # 配置:下段
description: ユイが笑顔でキーボードを叩いている。背景はキラキラ。
dialogue:
- speaker: ユイ
text: 「本当だ!思った通りに伝わる!」
以下の漫画ページがこのプロンプトをDALL·E 3で使用して作成したものです。

各要素の解説:
title:漫画のタイトル。panels:コマのリスト。ここに1コマずつ情報を足していきます。description:そのコマの絵の描写。AIへの作画指示になります。dialogue:セリフ。誰が何を喋るかを指定します。
YAMLを使う3つのメリット

① キャラクターの一貫性が保てる
冒頭でキャラクターの外見(description)を定義しておくことで、コマが変わっても「同じキャラ」として描き続けてもらいやすくなります。
② 細かい演出が可能になる
「右上(top-right)」「クローズアップ(close-up)」など、レイアウトやカメラワークをコマごとに指定できるため、より漫画らしい表現が可能です。
③ 再利用・修正がラクラク
一度YAMLの型を作ってしまえば、セリフやト書きを書き換えるだけで、別のストーリーをすぐに作れます。テンプレートとして保存しておけば便利です!
実際にどのAIツールで使える?
現在、YAML形式のプロンプトを理解して漫画生成に活用できる主なツールは以下の通りです。
🤖 ChatGPT (GPT-5.2 / DALL-E 3)
YAMLを貼り付けて「この内容で漫画の画像を作って」と頼むと、DALL-E 3を使って画像を生成してくれます。また、Code Interpreter機能を使えば、YAMLを読み込んでネーム(下書き)のような構成案を出してもらうことも可能です。
ChatGPT5.2へ「GPT-Image-1.5とDALL-E 3」どちらが漫画作成に向いているか聞いてみました。
ChatGPT5.2からの返答:
結論から言うと、GPT-Image-1.5でも作成は「可能」ですが、条件付きでおすすめです。
私の意見(実務目線)
今回のような「日本語セリフ入り・漫画ページ・コマ割り指定」では、完成度はDALL·E 3の方が安定します。
GPT-Image-1.5で「できること」
GPT-Image-1.5は、
キャラクターデザインの一貫性
雰囲気・色味・構図
表情やポーズのニュアンス
はかなり優秀です。
そのため👇の用途には向いています。
キャラ立ち絵(ユイ・ロボの設定画)
背景用イラスト
セリフなし/セリフ最小の漫画素材
1コマずつ分けた制作
GPT-Image-1.5で「弱い点」
一方で弱点も明確です。
日本語テキストの正確性が不安定
吹き出し内の文字が崩れやすい
複数コマ+文章指定を一気にやると破綻しやすい
今回の
セリフ・コマ配置・YAML構造に忠実な漫画ページ
という条件だと、文字品質が最大のネックになります。
おすすめの使い分け(プロ向け)
香奈枝さんのように
「教材・ブログ・解説漫画」で使うなら👇がベストです。
① GPT-Image-1.5
キャラクター素材
背景
セリフなし漫画コマ
② DALL·E 3
日本語セリフ入り完成ページ
解説漫画
YAML・手順説明系の学習漫画
結論
GPT-Image-1.5:素材制作向き
DALL·E 3:完成漫画向き
🍌 Gemini / NanoBanana Pro
GoogleのGeminiもYAMLの理解度が高いです。特に「NanoBanana Pro」のような漫画生成に特化したツールやGPTsでは、YAMLを入力とすることで、かなり精度の高い4コマ漫画を生成できる環境が整っています。
初心者向けのヒント
最後に、失敗しないためのコツをお伝えします。
- まずはコピペから: 最初から全部自分で書こうとせず、ネット上のテンプレートをコピペして、セリフだけ変えてみましょう。
- 「インデント」に注意: YAMLのエラーの9割は「スペースの数」の間違いです。ずれていないか確認しましょう。
- 支援ツールを使う: 最近では、「GPTsやGem」のように、フォームに入力するだけでYAMLを自動で作ってくれる無料ツールも公開されています。これらを利用するのも賢い手です。
まとめ

「YAML」と聞くと難しそうに見えますが、実は「漫画の設計図」を作るための、とても便利な道具だということがお分かりいただけたでしょうか?
この書き方をひとつ覚えるだけで、AIパートナーとの連携がスムーズになり、あなたの頭の中にある物語を、より正確に、より自由に形にすることができるようになります。
さあ、まずは簡単な4コマ漫画から、YAMLでの制作にチャレンジしてみてくださいね!


